この記事では猫背にお悩みのHさんが美姿勢になるまでの記録を書いています。鏡に映る自分を見るたびにがっかりしているというHさん。年齢以上に老けて見えることに不安を感じていました。
Hさんの猫背の原因
Hさんの姿勢や日常生活の様子から原因を考察しました。
Hさんは大手広告会社で働いています。休日出勤もいとわず、雑誌の編集長としてばりばりと活躍しています。重たい資料を持って外回りもあれば、社内で深夜までパソコンに向き合うこともあります。
40代を過ぎたころから鏡に映る自分がどんどんおばさんっぽくなるのが嫌でした。ヨガや筋肉トレーニングをしてみるものの、大きな変化がなくモチベーションも下がっていきました。継続することができませんでした。
プライベートではご主人とお二人で住んでいます。休日には一緒に登山に出掛けてリフレッシュします。登山時のお悩みとして、リュックを担ぐと背中がバキバキに痛くなっるそう。下山時はご主人に持ってもらわないと歩けないほどです。
「猫背のせいでやりたいことが満足できないなんて、嫌です!」と一念発起して、「猫背からきれいな姿勢に戻して、人生を楽しみたい!」と駆け込んできました。
Hさんのお体を拝見した第一印象は、からだを支える筋力のバランスが悪いことでした。本来なら脛とふくらはぎ、前ももと後ろもも、背中とお腹、首と肩の上がそれぞれに支えあえているとからだはラクと感じます。
Hさんの場合、前ふともも、背中、首で過剰に支えています。特にろっ骨を下に向けて(丸めて)立つ癖があるので、背中がどんどん丸くなっていました。
また、本来なら上に伸び上がる意識が働いて背中が伸びます。Hさんは伸びる感覚が入りにくく、背中を丸めて前に出ようとするクセがありました。そのため肩も首も前に出て、猫背がひどくなる状態でした。
お尻の筋力の不足もあり、足裏で踏んだ力が上半身に伝わりにくいことも推測できました。お尻の筋力をつけながら筋肉のバランスを整えていく方針に決めました。
Hさん向けの美姿勢エクササイズ
Hさん向けのエクササイズは、背骨を1個1個分離させてたくさん動かすことにしました。背骨が伸びる感覚を養うには、まずは細かく動かすことが大事だからです。
①ろっ骨から体を反らせる
背骨の中でも特に硬いのが、背中の上半分肋骨と背骨のくっついている箇所です。ここが反ることで、胸が上を向き背中を伸ばすことができます。
仰向けでボールをみぞおちの後ろに置きます。万歳をして背中をぐーっと反らせ、深呼吸します。次に手を横に広げて、胸を張り深呼吸です。胸が大きく広がる感じがすればOKです。「肋骨がバキバキ言います。よほど使ってなかったんですね。伸びると気持ちいですね!」とHさん。
②仰向けで小さい背中を作る
胸を反らせる感覚がつかめたら、背中を真ん中に寄せる感覚をつかみます。正常な姿勢では、肩甲骨が背骨によってからだを支える力を強化します。
ストレッチポールに仰向けになり、万歳します。このとき、指の間もしっかり広げます。お腹が伸びるまで手を伸ばし、次に肘をおろしてポールにできるかぎり近づけます。背中がきゅーっと縮む感覚を掴みます。「背中を小さくする動きは、今までしたことがありませんでした。この筋肉を使うと姿勢が良くなるのがわかる気がします!」と前向きに取り組みました。
③お尻をのぞき込む
背骨を横に曲げます。これも日常動作にはあまりない動作です。横に曲げにくいことで縦の動きだけに頼ってからだの負担になるので、しっかりと取り組みました。
四つ這いになり、横からお尻をのぞき込みます。この時、反対側のお尻が大きく横にでないことがポイントです。左右10回ほど繰り返すうちにラクに動かせるようになります。
④立った姿勢で背骨を動かす
寝た状態、四つ這いの動きでは、重力の影響はあまり受けないので、ラクに動かせます。立った状態で動かすことで、機能性の高い背中になります。
壁に背を向け日10cmほど間をあけて立ちます。首の骨からひとつずつ折りたたんで前屈のようになります。お腹をぐーっと持ち上げてお尻が壁につかないようにするのがポイントです。壁があればどこでもできるので、1回でもいいので毎日やるようにアドバイスしました。
Hさんは「いつでもどこでもできるのは私にピッタリです。こまめにやると、お腹の力がはいりやすく、背中を立てられるようになるんですね!」と話していました。
⑤背中を反ったり曲げたりする
背骨が柔らかくなったら動きを大きくして、筋力を強化します。動かせるようになることと、いい状態を長く続けられる持久力は別々のエクササイズで行います。
膝立ちになりゴムを持ちます。大きく前に背骨を曲げる、後ろに反らすを繰り返します。単純な動作ですが、軽く汗をかくくらいいい運動になります。このエクササイズの後は、背中の立てやすさがさらに強化されます。
⑥肩甲骨の位置を修正
猫背の姿勢が長いと、肩甲骨が前に倒れたままになっています。本来は少し後ろに傾いているので正常に戻します。
うつ伏せで、肘を90度で横に出します。手指や手首を使わないで、肩甲骨から持ち上げるように床から浮かせます。50回ほどやると肩甲骨がだるくなります。普段の姿勢とは逆の動きなので、だるくなって正解です。エクササイズの後は肩甲骨の位置が後ろに倒れやすくなっている感覚があります。
⑦首の位置を修正
猫背の方は歩くときに下を向いていることが多く、首が前に倒れています。首の位置を修正することできれいな姿勢に近づきます。
仰向けであごをできるだけ鎖骨に近づけます。首の後ろが伸ばされ、首を後ろにひきやすく正しい位置に戻しやすくなります。ポイントは胸の位置を落とさないことです。正常な姿勢に近い形で伸ばすことで、立ち上がったとき正しい位置になります。
⑧お尻の筋肉をつける
お尻の筋力が不足していると、骨盤が安定せず背骨を立たせることができません。Hさんもお尻のエクササイズが必要でした。
壁に手を添え骨盤が動かないように注意しながら、横、斜め横、後ろと足を動かします。足先がちょこんと着くくらいでOK。Hさんいわく「すごく地味なのに、お尻に効きますね!」と取り組みました。終わった後は、お尻にきゅっと力が入りやすくなります。
まとめ
Hさん向けの猫背からきれいな姿勢に戻るためにエクササイズとして下記の8つを指導しました。目標は背骨を1個1個分離させてたくさん動かし、背中を伸ばす感覚を掴むことです。
①ろっ骨から体を反らせる
②仰向けで小さい背中を作る
③四つ這いでお尻をのぞき込む
④立った姿勢で背骨を動かす
⑤背骨を反ったり曲げたりする
⑥肩甲骨の位置を修正する
⑦首の位置を修正する
⑧お尻の筋肉をつける
半年続けていくうちに、Hさんの姿勢は見るみる美しくなり「自分の姿勢を鏡で確認するのが楽しみになりました。登山の時も荷物を持ったまま下山しています。」と笑顔いっぱいで話しています。
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